“いい人”なのに恋が苦しくなる人へ

恋の不安

恋愛の話を聞いていると、ときどきこういう言葉に出会うことがあります。

「相手は悪い人ではなかった」
「自分も、そんなにひどいことをされたわけではない」
「でも、なぜかずっと苦しかった」

暴力があったわけではない。
大きな裏切りがあったわけでもない。
誰かが明確に悪意を向けてきたわけでもない。

それでも、恋の中で少しずつ疲れていく人がいます。

外から見れば、むしろうまくやれそうに見える人です。

優しい。
気が利く。
相手の立場を考えられる。
感情的にぶつからない。
無理に押しつけない。
相手を困らせないようにできる。

いわゆる「いい人」です。

けれど恋愛では、その“いい人”であることが、必ずしも楽な恋につながるとは限りません。

むしろ、いい人ほど恋が苦しくなることがあります。
優しい人ほど、関係の中で自分の居場所を薄くしてしまうことがあります。
相手を大切にしようとする人ほど、自分の気持ちを後回しにして、あとから静かに疲れていくことがあります。

これは、優しさが悪いという話ではありません。

優しさは確かに美しいものです。
配慮も、思いやりも、関係を壊さないためには大切な力です。

ただ、恋愛においては、優しさだけでは足りない場面があります。

なぜなら恋愛は、相手を大切にするだけの関係ではないからです。

そこには、自分もまた一人の人間として存在していなければなりません。

“いい人”ほど、自分の気持ちを後回しにしやすい

相手の気持ちを考える。
相手の負担にならないようにする。
相手が嫌がらないように振る舞う。
相手の都合を優先する。

その一つ一つは、たぶん間違いではありません。

でも、それが続きすぎると、相手の前にいるはずの「自分」が、だんだん見えにくくなっていきます。

会いたいのに、相手が忙しそうだから言わない。
寂しいのに、重いと思われたくないから笑って流す。
本当は少し嫌だったのに、雰囲気を悪くしたくなくて飲み込む。
もっと大切にされたいのに、そんなことを求める自分がわがままに見えて黙る。

そうしているうちに、恋は表面上は穏やかに見えます。

喧嘩は少ない。
大きな衝突もない。
相手を責めることもない。

けれど、自分の中には小さな未送信の気持ちが積もっていきます。

大丈夫と言いながら、帰りの電車で何を我慢したのかを数えている。
相手に会えたはずなのに、帰宅後にひどく疲れている。
楽しかったはずなのに、どこかで自分だけが置いていかれたような気がする。

“いい人”なのに恋が苦しい人は、魅力が足りないわけではありません。
愛される価値が低いわけでもありません。

むしろ、人と関係を壊さないための力をたくさん持っていることが多い。

問題は、その力の向きが、いつも相手側にだけ流れてしまうことです。

優しさが外向きにばかり流れると、自分の席がなくなる

優しさが外向きにばかり使われる。
配慮が相手のためにばかり使われる。
我慢が関係維持のためにばかり使われる。

その結果、自分の気持ちに席がなくなることがあります。

恋愛では、相手の気持ちに寄り添う力が必要です。
でも同時に、自分の気持ちを関係の中に置く力も必要になります。

寄り添うだけでは、関係は片側に傾きます。
合わせるだけでは、相手はあなたの本当の輪郭に触れられません。
察するだけでは、あなたが何を望み、何に傷つき、何を嬉しいと感じるのかが伝わりません。

優しい人ほど、ここを見落としやすい。

「言わなくてもいい」
「自分が我慢すればいい」
「相手に負担をかけたくない」
「このくらいで傷つく自分が面倒なのかもしれない」

そうやって、自分の気持ちを小さく扱うことに慣れていく。

でも、自分の気持ちを小さく扱い続けた恋は、長くなるほど苦しくなります。

なぜなら、恋愛は相手の存在だけでできているわけではないからです。

二人の関係なのに、一人分の気持ちしか置かれていないなら、その関係はいつか細くなります。

“いい人”であることと、恋で幸せになれることは同じではない

“いい人”であることと、恋愛で幸せになれることは、同じではありません。

いい人は、相手に嫌な思いをさせないことができます。
けれど、自分の望みを伝えられるとは限りません。

いい人は、相手に合わせることができます。
けれど、合わせすぎたあとで自分を取り戻せるとは限りません。

いい人は、関係を壊さないようにできます。
けれど、関係の中で自分が消えないようにすることは、また別の力です。

恋愛で必要なのは、冷たくなることではありません。
駆け引きを覚えることでもありません。
優しさを捨てることでもありません。

必要なのは、優しさの中に自分の席を残すことです。

「私はこう感じた」
「本当は少し寂しかった」
「無理に変えてほしいわけではないけれど、これが続くと私は苦しくなる」
「あなたを責めたいのではなく、自分の気持ちを置いておきたい」

そうした言葉は、わがままではありません。

関係の中に、自分という人間をちゃんと置くための言葉です。

相手を傷つけないことと、自分を傷つけ続けないこと

優しい人は、相手を傷つけないことに意識を向けます。

それはとても大切なことです。

言葉を選ぶ。
相手の状況を見る。
感情的にぶつけない。
一方的に求めすぎない。
相手が困らない形を探す。

その力は、恋愛の中で確かに必要です。

でも、恋愛では、自分を傷つけ続けないことも同じくらい大切です。

相手を傷つけないために、自分の寂しさを全部飲み込む。
相手を困らせないために、自分の違和感をなかったことにする。
相手の都合を尊重するために、自分の希望をいつも後回しにする。

それが何度も続くと、やがて心の中で小さな疲れが積み上がっていきます。

そしてある日、相手が何か大きなことをしたわけでもないのに、急に苦しくなる。
会えたのに満たされない。
優しくしたのに寂しい。
相手は悪い人ではないのに、自分だけが削られているように感じる。

この苦しさは、単なるわがままではありません。

自分の気持ちを関係の中に置けていないサインかもしれません。

優しさを持ちすぎているのではなく、向きが偏っているのかもしれない

“いい人”なのに恋が苦しくなる人は、優しさを持ちすぎているのではありません。

優しさの使い道が、いつも自分の外側に向きすぎているのかもしれません。

相手のために考える。
相手のために待つ。
相手のために飲み込む。
相手のために整える。

その力は美しい。

ただ、それだけでは、恋の中に自分が残りにくくなります。

恋愛は、相手を大切にすることと同じくらい、自分がここにいると分かることも必要とします。

誰かに寄り添うためには、自分の足場もまた要ります。

自分の足場がないまま寄り添おうとすると、相手の気持ちに合わせるたびに、自分の輪郭が薄くなっていきます。

相手のために優しくしているはずなのに、なぜか苦しい。
関係を壊さないようにしているはずなのに、自分だけが疲れていく。
嫌われないように振る舞っているはずなのに、だんだん自分が分からなくなる。

そのとき見たいのは、優しさをやめることではありません。

優しさの中に、自分を残せているかどうかです。

自分の気持ちを置くことは、わがままではない

自分の気持ちを伝えることに、強い抵抗がある人がいます。

こんなことを言ったら重いかもしれない。
面倒だと思われるかもしれない。
相手を困らせるかもしれない。
空気を悪くするかもしれない。

そう考えて、言葉を飲み込む。

でも、自分の気持ちを置くことは、必ずしも相手を責めることではありません。

「もっとこうしてよ」と押しつけることだけが、気持ちを伝えることではありません。

「私はこう感じた」
「少し寂しかった」
「今の距離感が分からなくて不安になった」
「すぐに変えてほしいわけではないけれど、自分の気持ちとして置いておきたい」

そういう伝え方もあります。

自分の気持ちを置くことは、関係に自分の存在を戻すことです。

相手の気持ちだけでなく、自分の気持ちもそこにある。
相手の都合だけでなく、自分の希望もそこにある。
相手の負担だけでなく、自分の苦しさもそこにある。

そのことを、乱暴ではない形で関係の中に置いていく。

それは、恋愛を壊すためではなく、二人分の関係に戻すために必要なことです。

優しいまま、自分を消さない恋へ

優しいことは、恋愛の中で大切な力です。

相手を思いやれること。
相手の立場を考えられること。
すぐに感情をぶつけず、関係を大切にしようとすること。

それは、あなたの弱さではありません。
むしろ、大切な魅力です。

でも、その優しさがいつも相手のためだけに使われ、自分の気持ちを後回しにし続けるなら、恋は少しずつ苦しくなります。

優しいままでいい。
でも、自分を消さなくていい。

相手を大切にしていい。
でも、自分の寂しさをなかったことにしなくていい。

相手に寄り添っていい。
でも、自分の足場まで手放さなくていい。

“いい人”なのに恋が苦しいなら、あなたの優しさが間違っているのではありません。

その優しさを、自分を消さない形で使う必要があるのかもしれません。

恋愛は、相手を大切にすることだけでできているわけではありません。

自分もまた、その関係の中にいる一人です。

そのことを忘れないこと。

そこから、恋の苦しさは少し違って見えてくるはずです。

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